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◆DNF公式

第一章:特別編
第二章:七つの色
第三章:預言者



続きより【第四章 救世主】
 まず、魔界という所について知らなければならなかった。

 俺は暫くの間、古代の図書館等残り少ない旧魔界の資料を収集する為に全力を尽くした。それと共に魔界の人々の伝説を慎重に聞き纏めた。

 そうするうちにルークがまた偶然にメトロセンターの電力を稼動させると、その中にルークが建物に描いておいた絵がないか調べた。そこで、新たに描かれた形状をもれなく見ており、以前にルークが描いておいた幾つかを発見することになった。

 ルークの図は全ての使徒の――あるいは使徒と推定される人々の――の死を描いていたが、中には俺は知らない者もいた。まだ魔界にやってきていない者達なのだろうか? しかし、新たな使徒を捜すヒルダーの旅が止まったのは、もう随分と前の事であった。
しかも、まだヒルダーとカインの死は描かれなかった。もしや彼等は死ぬ事はないのだろうか? それとも、彼等の未来は確定的ではないのか?

 時間は何時の間にか数十年が過ぎていた。ルークの建築の速度はとても遅い。

 俺は数年振りに建てられた新しい建物に電気が入ってきたのを見下ろしていた。ところが、今回の映像は以前とは違っていた。

(これが終わりであるようだな……)

 そう思った理由は、それがもはや使徒の死を描いていなかったからだ。自分の足の下で、二人の男女が豊かに見える世界を見下ろしている場面が広く広がっていた。男女がそれぞれ誰なのかは定かではなかったが、ルークがカインとヒルダーの死を描かなかった事から、恐らく彼等だろうと俺は推測している。しかし、これは俺が予想していた結末だったので、俺は軽く笑みを浮かべた。

 そうだった。まさにこれこそがヒルダーがしようとしている事であった。〝テラの再創造〟。彼女は魔界の古代の文献や伝説に常に登場する〝滅びたテラの再創造〟を、本気で実現させようとしているのである。そしてその材料は、一度世界が滅ぶ事と使徒達の犠牲、即ち死である。

 古代のテラにはテラの滅亡と再創造の過程を具体的に描いた〝創世紀〟という文献が存在するという。大部分は焼失したが、次の幾つかの詩が伝えられているのだ。

●信託であるから犠牲は偉大な事であり私達が自らを死に追い込むような事はない。
●唯一試練によって研ぎ澄まされた刃だけが私達の心を貫いて偉大な意志に回帰するであろう。
●これが真の犠牲であり消滅は間も無く創造となり、この島は私達が繁栄する場所と私達を崇め讃える者がそこから創造されるであろう。

 テラの歴史学者達は、ここで言う〝私達〟とは〝テラを創造した神々〟を意味すると解釈した。だから、古代テラ神々の犠牲と消滅をして、テラが再創造されるとの解釈が可能なのだ。

 そしてヒルダーは何故か〝テラの神々〟と〝使徒達〟を同一視している。新しい世界を切り開いていく男女、つまり自分自身とカインを除いた残りの使徒達を犠牲にすると、荒廃したテラが再び復活するのだと思っているのだ!

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 俺は心の奥底で何かが湧き上がるのを感じた。そうだ。遂に運命に出逢ったのだ。世界の滅亡や他の使徒達の死などに気を使う事はなかった。実は俺が死ぬ運命だという事も、ヒルダーが計画を実現しようとしまいと関係なかった。俺の心を一様に揺るがせたのは、他のイメージだった。〝カイン〟、〝第一の使徒〟、〝無敵のカイン〟、〝絶対者カイン〟。……糞ッ。ヒルダーの計画でさえ彼は死なない。彼は俺の死によって蘇った大地を、唯淡々と踏み締めヒルダーと共に新しい世界に永遠の神として残るだろう! そんな事は絶対に受け入れられない!

「クククク……くっくっくっくっ……クハハハハ……!」

 俺の笑い声はますます狂って行ったのだが、逆に精神はますます鮮やかとなった。

「クハハハハッ! 俺がヒルダーの計画を妨害するのに成功すればこの世界が滅亡する事はなく、結果的に多くの命が救われる。仮にも暴龍王と呼ばれていた俺がこの世界を滅亡から救う〝救世主〟の役割とな! クククククク!」

 息が良さそうだった俺の笑いは、何時の間にか落ち着いた笑みへと変わっていた。

「そう、平凡な運命よりもこれぐらいでないとな」


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2011.02.02 Wed l アラド戦記 世界観 l COM(0) TB(0) l top ▲

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