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◆DNF公式

◆第一章:特別編
◆第二章:七つの色
◆第三章:預言者
◆第四章:救世主
◆第五章:龍の戦争



続きより【第六章 一ヶ月前】
「なぁ爺さん……そうだ……俺に見せたもの」

 ルークはのんびりと作業を続けていたが、俺は気にせず言葉を続けた。

「俺は今度ヒルダーから何かを奪ってみようと思っているんだがね。これが失敗でもしたらそのまま俺は死ぬのだろうか? まさか俺が炎の中で死ぬのはこの魔界ではないのだろう? そんなの全く面白くない」

 俺の巨躯は崩れそうな壁の上に際どく乗っかっていた。こうも壁が崩れそうなら一度くらいは確認しようとするものだが、ルークは一度も視線を向ける事無く唯金槌を振るっていた。

「どうやら、使徒と呼ばれる連中は俺が真実を話してくれても信じてくれんようで、何の助けもくれないみたいだ。自分が偉大であると示す事にしか関心がない奴等だからな。俺と良く似ているよ……クハハハッ」

 ルークは唯行ったり来たりレンガを運んでいた。俺は急に飛び降りルークの前を塞ぐ。ずしんと大きな音が砂煙と共に辺りに広がった。

「なぁ爺さん。あんたは言葉は喋れないが耳が聞こえない訳ではないんだろう?」

 ルークは俺を少し眺めていたが、すぐに過ぎ去ろうとした。俺は今度は手を伸ばして本格的に抑制した。

「俺は全てを話したのだから、少しは助けてくれても良いとは思わんか? どうにも俺には逃げる場所が必要なようでね。しかし様々な異空間を流れるこの魔界はヒルダーだけが操る事が出来る。故に俺は何処に逃げれば良いというのだ?」

 ルークは視線を俺から逸らして遠方を見詰めるばかりであった。唯遠くの山の景色を見ているように。

(この爺さん……幼稚にも俺から視線を避けているのか……それとも本当に耳が聞こえないのか?)

 顰めていた俺の両目は自然とルークが見つめている方向へと向けられた。するとそちらの方は微かに明かりが灯っていて、そこには普段は全く見えていなかった塔のような形がおぼろげに見えた。……あれは何だ?

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 俺はすぐさまその塔に向かって飛んでいった。塔は限りなく上へと伸びており、上部は魔界の空を貫くようにしていた。他の世界と繋がっているのか!? 塔の周辺にはどのような装置があるのか、周囲の光を全て遮断し特定の角度で光を照射しないと見えない構造であるようだ。この古狸爺さん……異空間を突破出来る通路を作っておきながら巧妙に隠していたとは。

 再びルークの元に帰って来たが、彼はまた黙々と自分の仕事を続けていた。

「ははッ、改めてみると爺さんは完全に俺の側のようだな。密かにこんな物を造っていたとはね。あの塔の先にどんな世界が繋がっているかは解らんが、まぁどうせ此処より地獄なんて事はないだろう」

 これは新しい感覚であった。俺と同じ志を持つ者が居たとは。

「だんまり爺さんが俺の頼みを一つ聞いてくれるだけでこうも心強いとはね。クククッ! そういえば一人孤独に戦った幼少時や、退屈な王の頃にも俺に味方は居なかったな。これは急にありがたくなって来たぞ。俺達は友人という訳か爺さん?」

 俺は両手を挙げてルークの肩を包んだ。ルークの俺の掌の半分ほどでしかない。俺とルークの身体のサイズが大幅に違うから、俺は身体を大きく曲げて挨拶をしているように見えただろう。俺は暫く彼をじっと見下ろして言った。

「ところで、こんな事を思ったんだが……」

 俺はさり気なく微笑から鋭いものへと表情を変える。

「もし、爺さんが預言者などではなく、ヒルダーがそうさせるようにしていたとしたら? だから……まるで予言をするように、俺へ全てを示したのも、その全てがヒルダーが予め作っておいた緻密な脚本通りに俺が動くよう誘導したのだとしたら?」

 ルークは何の反応もしなかった。その姿をじっと眺めていた俺は大きく笑って話した。

「もしそうなら、あんたが俺を脱出させる事までヒルダーの計画に含まれているというなら、それはそれで構わん。一先ず俺が生き延びる事が出来るのであればまた先は解らなくなるだろう。未来は決まっている訳ではないのだろう? 例えそうでなくても、この荒廃した魔界で焼け死ななくて済むなら何でも甘受出来そうだよ……クックック!」


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2011.02.09 Wed l アラド戦記 世界観 l COM(0) TB(0) l top ▲

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