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◆DNF公式

◆第一章:特別編
◆第二章:七つの色
◆第三章:預言者
◆第四章:救世主
◆第五章:龍の戦争
◆第六章:一ヶ月前



続きより【第七章 天界の支配者】
 その塔は本当に外部への通路であり、惑星アラドの天界へと繋がっていた。時空間の境界を繋ぐ工法は、全宇宙で唯一ルークだけが可能とするものだろう。バカルは塔を進みながら彼方此方に漂う膨大な数の死体を見た。恐らくはこれが塔の通路としての機能を果たしているのだろう。バカルはこの塔を〝死者の城〟と呼ぶ事にした。

 死者の城によってようやく天界へと逃げてきたバカルは、これ以上逃亡者の役割をしなくても良いようであった。そこにはバカルの相手に値する者が存在しなかったからだ。彼は正に天界の支配者となった。ルークが別の使徒に死者の城の位置を教えない限り、彼の天界支配を脅かす事はないだろう。

 バカルは一気にこの世界の構造を把握した。下には大きな大陸アラド。上には逆さに付いている魔界。魔界は過去数十年の間、この惑星と繋がって動かなかった。ルークは魔界とこの惑星を結ぶ死者の城まで建設した。この惑星こそが正にヒルダーが心に収めている〝その〟惑星である事は間違いないだろう。それならばバカルのすべき事は明らかであった。

 全ての事がヒルダーの思い通りにならないようにする事が重要であった。ヒルダーの目的は最終的にはアラド大陸なのだから、その途中にあるこの天界を切り離してしまえば良い。即ち、アラド大陸に通じる空と魔界に通じる死者の城を封印すれば良いだろう。

 やる事がもう一つあった。天界からの魔法を完全に消す事だ。そうすればヒルダーが天界に来た時に、彼女の強い魔法力を即座に感知出来る筈である。

 しかし、天界から魔法を消そうとするバカルの本当の狙いは別にあった。

(ヒルダーの望みは使徒達の死……しかし、カインが俺を殺す事が出来なかったように、自分の手で使徒達を直接殺す事は出来ない。彼女がそれ程の力を持っている訳でもない)

(〝唯一試練によって演壇された刃だけが私達の心を貫き偉大な意志へと回帰するだろう〟……まさかヒルダーはこの惑星の未熟な生命体達を鍛える事で、何時の日にか使徒達を倒す事が出来るとでも考えているのだろうか? 例えそれが可能だとしても、数百、数千年は掛かるというのに……?)

 その時バカルの頭に一つの考えが過ぎった。

(彼女にとっては、俺が天界を支配するのも恐らくは計算の内だったのだろう。バカルという試練を与えて鍛えさせる。そう……このバカル程彼等にとって巨大な試練はない。このままでは彼女の掌の上で踊らされ続ける事になるだろう)

(それならば全てが彼女の思い通りにならないようにするまで。彼女の計画とは異なる方に流れてしまう程の歪みを作るのだ。このような緻密かつ巨大な計画は非常に小さい歪みで崩れる)

 バカルは大きな怒鳴り声と共に、空の果てまで飛び上がった。

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「未熟な生命体達よ。俺は、貴様達に敢えて想像も出来ない最大限の試練を与えるから強くなってみせろ。貴様達に秘められた力があり、誇りがあるならば、それも不可能ではないだろう。しかし、それはヒルダーの予想を遥かに超えるものでなければならない。それでこそヒルダーの計画に歪みを生み出す事が出来るのだ。俺は、ヒルダーが信じるよりも尚、貴様達を信じてみせよう。貴様達が何時かカインとヒルダーを斃すその日を思い描いてみるという事だ! しかし、魔法のような一つの力にだけ依存していては絶対に奴等を斃す事は出来ない。もっと多くの力が必要だ。必ず、貴様達自身の手でそれを見つけ出さなければならない!!」

 この時から、天界では魔法の使用が禁止された
 天界の暗黒時代と呼ばれる五百年は、このように始まったのだ。


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2011.02.13 Sun l アラド戦記 世界観 l COM(0) TB(0) l top ▲

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