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◆DNF公式

◆第一章:特別編
◆第二章:七つの色
◆第三章:預言者
◆第四章:救世主
◆第五章:龍の戦争
◆第六章:一ヶ月前
◆第七章:天界の支配者
◆第八章:七人のマイスター
◆第九章:思ったよりも早く



続きより【第十章 ほんの僅かな歪み】
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 バカルの城の彼方此方が燃えていた。バカルは一群の人々と向き合っている。彼は所々に大きな傷を負い血を流していた。人々が立っているその背後では、次元の亀裂によって生じた空間の裂け目が尚も広がり続けていた。

「貴様達の全員が天界人ではないようだな。もしそうなら俺の問いに答えてもらおう。貴様達こそ、未来から来た友人達なのか。教えてくれ。何年後から来たのだ?」

「そうだ。五百年後の未来から来た」

「五百年……更に五百年も待たねばならないのか……。ならば俺の三匹の龍は斃したのか?」

「我々は大陸に転移した使徒達をも多く斃してきた。貴方が創った粗末な龍達は我等の相手ではない」

「良くやった。基本的なテストは軽く通過したようだな。さて、その愚かな使徒達は最終的に彼女の手によって、とんでもない所で呆気なく殺されていったのではないか? 俺の問いに答えてもらおう。貴様達の地に降り死んでいった使徒達はシロッコ、ロータス、ディレジエか?」

「遠い未来の事を貴方は何故知っている?」

「ふふ……運命によって順番が決まっているのか、意図的に彼女がそのように配置したのか、それは俺にも解らんがな。ところで、人間だけではなく、天界人と魔界人に黒妖精まで加えたのか。可能性があるのなら一つも見逃さないという事だなヒルダーよ」

「貴方と対話する為に態々来た訳じゃない、早く戦おうじゃないか。 歴史の上では、天界人達が機械革命で貴方を斃した事になっているが、今日は我等が特別に古代天界人達の苦労を少し減らしてやろうかとな。既に深く傷付いていて残念だが、悪人に慈悲を施す必要はあるまい!」

「クックックック。 天界人達が俺を殺したと聞いたのか? こんな機械如きで? 残念ながら、このような粗悪な物では俺を殺す事は未だ出来ん。しかし、その機械達を一度に相手にした為に俺の力は大きく削られた訳だ。彼女はこの時を狙って貴様達を此処に導いたようだな。良い作戦であるぞヒルダー。さて、俺が本当の歴史の勉強をさせてやろう。もし俺が今日死ぬのなら、それは貴様達の過去においてもそうだったという事。つまり、俺を殺したのは天界人ではなく何時も貴様達だったという事だ。その事実は変わる事がない」

「…………!?」

「これで少しは理解出来たようだな。貴様達の種族が強くなるには後五百年。ヒルダーは、俺がこのまま彼女の計画を遮ったままでいたら自分の予想が覆されかねないと思い、俺の死ぬ時を早めたという事だ。事実、貴様達が苦労して未来から俺を訪ねて来ずとも、もうすぐ俺は大陸に降りるつもりであった。あぁなるほど、それで彼女は焦ったという訳か。クックック。さしずめ未来のヒルダーは異空間を自在に操る事が出来るのだろう。貴様達を正確な時間帯の過去へと送り込む事が出来るとはな」

 辺り一面が燃えていた。そう。ルークは俺が炎の中で死ぬ事を暗示していた。それが今という事なのか。まだ成すべき事が残っていたが。

「貴様達の話を聞くと、もしかしたら本当に俺は今日此処で死ぬのかもしれんな。俺の力が消耗した今は絶好の機会だ。このまま死んで貴様達の強さを正確に計る事が出来んのは実に惜しいが……」

 バカルは胸が高鳴るのを感じた。彼の数百年間の努力の結果がすぐ目の前にいるのだ! 彼は一人一人を順番に丁寧に眺めていった。果たして俺の努力がこれ等にどのような影響を与えたのだろうか? それともこれは単なる彼女の操り人形に過ぎないのだろうか?

「貴様達の強さはヒルダーの思っている程度なのか、それともそれ以上なのか。俺がヒルダーの計画を五百年間遅らせている間に貴様達の種族は少しでも成長したのだろうか、それとも何も変わらなかったのか。このように良く構成されたゲームでは、ほんの僅かな歪みが大きな変化をもたらすのだ」

 バカルは鋭く眼光を輝かせ巨大な身体を起こし、翼を広く展開する。その圧倒的な威容に冒険者達は、自分でも気付かないうちに一歩後退りした。皆の顔に本能的な恐怖が立ち込める。

「あァ、もう一つ歪みがあるやもしれんな。俺の力が少し削がれていたとしても、果たして本当に貴様達が俺に勝てるかな……? 俺が今日死ぬ事は避けられないとしても、俺を殺すのは貴様達ではなく未来から来た他の者達であるかも知れんぞ?」

 巨大な龍の口が大きく開かれ、その中で巨大な火の玉が煌々と燃え上がり始めていた。


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2011.02.18 Fri l アラド戦記 世界観 l COM(0) TB(0) l top ▲

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